2015年9月7日月曜日

子どもの育ちとネット・ゲーム依存の現状 ~発達障害支援の視点から~

9月5日に、発達支援センター主催市民講演会「子どもの育ちとネット・ゲーム依存の現状 ~発達障害支援の視点から~」に参加してきました。

 昨年から約一年間、学齢期の不登校に関連して「深夜にネットやゲームをして、朝起きることができない生活リズムになっている子ども」、「中学生になると保護者の目が届きにくくなり、制限の方法に苦戦している保護者」などの相談件数が約1900件だそうです。

 さて、みなさんが今お手元にある携帯電話はどのような形をしているでしょうか。ほどんどの人がスマートフォンであると思いますが、それは10年前には存在していませんでした。かつではいわゆるガラケー(ガラパゴス携帯)といった、パカパカと折りたためる携帯できる電話でしたね。比べてスマートフォンは電話の機能よりも、LINE等のSNSやゲームといったコンテンツが多く使用できるものとなりました。スマートフォンを使えば調べごともできますし、動画を見ることだってできます。携帯できるパソコンのようなものですね。

 10年前と比べ、今の子どもたちは「ネット」はとても身近にあるものです。とても便利な世の中になりましたね。しかし、メリットがある反面、デメリットもあるわけです。それが、楽しくて使いすぎてしまうこと。

  オンラインゲームの特徴として、どんどんアップグレードして面白くしていくことができるため、“ゲームの終わり”がなく、のめり込んでしまうわけです。オンラインゲームを始めるきっかけは様々ですが、多くは「友だちに誘われてやってみた」だそうです。オンラインゲーム会社は利益を上げるために利用者を離さない工夫をしているため、頑張った分だけすぐレベルアップするようになっていると思います。これは、レベルアップすることは子どもにとって「達成感」を得ることができます。学校での勉強を頑張ってもなかなか成績が上がらないことに対し、オンラインゲームはすぐレベルが上がる。のめり込む理由もわからなくもないですね。オンラインゲーム上での組織に属すると仕事や役割が与えられます。自分がいなくちゃ敵は倒せない、ここが自分の居場所なんだって思う「自己有能感」を得ることもできます。「達成感」と「自己有能感」。教員目線で考えると、学級経営をしていく中でとても大切なキーワードなのですが、心苦しくなりますね。

  ネット依存者は多くの問題を抱えることになります。体力低下や栄養の偏りといった身体的健康、睡眠障害やひきこもりといった精神的健康、遅刻欠席や成績低下といった学業・仕事、浪費や多額の借金といった経済、家庭内の暴言や暴力といった家族・対人関係があります。ネット依存により様々な問題へと繋がるため、「早期発見・早期対応」が大切だと言われています。このキーワードも、いじめ対策、児童虐待対策では大切であるため、ネット依存は子どもにとって深刻な問題であると感じました。

  子どものネット・ゲーム依存は赤ちゃんの段階からスタートしているそうです。お母さん方、お父さん方、赤ちゃんをあやす道具としてスマートフォンを触らせていたら、それは今後しないようにしてください。赤ちゃんがスマートフォンを触ると泣き止んで安心感がある、これはもう赤ちゃんはもう依存状態への第一歩らしいです。驚きです。

 もしもネット・ゲーム依存性の人(子どもに限らず大人も)がいれば、「一度病院で体調みてもらったら?」や「寝不足で倒れないから心配だから一回病院いってみない?」と声をかけて通院させるようにしましょう。くれぐれも「あなた病気よ」と言ってネット・ゲームのことを悪く言ってはいけません。もし自覚していない人であれば健康な自分を病気呼ばりにされて一生病院に行きたくなくなります。家の中でも、「ネットほどほどにしなさい」よりは「今日いいお天気だから少しお散歩しない?」と遠まわしに言うと心が動きやすいそうです。

 一年で相談件数が約1900件、一日に何人の人が相談しに行っているのでしょう。しかも相談の予約は半年先まで埋まっているそうです。ネット・ゲーム依存の解決は相談窓口でお話するだけでは手が足りず、間に合っていない状態です。

  みなさん、身の回りの知り合いに思い当たる人がいらしたら、リアルの世界の方が楽しいんだよと、手を差し伸べて救ってあげてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿